埼玉県桶川市
桶川市(おけがわし)は、埼玉県の中東部にある人口約7万4千人の市である。
概要
古くは江戸時代の五街道の一つ中山道の宿場町・桶川宿として発展し、江戸時代に周辺部で栽培されていた紅花は「桶川臙脂」としてその名を知られ、最上地方に次いで2番目の収穫高を誇っていた。現在でも中山道には蔵作りの建物など宿場町の面影を残している。農業用地を残す一方で、近年は住宅地化も進行している。
歴史
「桶川市」という地方公共団体が成立する以前のことでも現在の市域内のことを記述する。
古代以前
現在の川田谷地区には荒川沿いに数多くの古墳や遺跡が発見されていて川田谷古墳群といわれる。その中には原山古墳群や熊野神社古墳などがある。熊野神社古墳は大和政権の力が東に及んでいたことを示す手がかりとして重要視されている。
篠津にある多気比売神社は、平安時代の延喜式にその存在が書かれており、市内最古の神社といわれている。
中世
「おけがわ」という地名はこのころから文献に現れ、郷があったことが確認されている。しかし「桶川」ではなく「桶皮」という表記もある。地名の由来は後の節を参照。
近世
古くから農産物の集散地であったために、人が集まり中山道の宿場町として栄えた。現在の桶川市の中心部は上尾市の北部を含めて桶川郷と呼ばれていた。このあたりでは紅花が栽培されていて、宿場の発展に重要な役割を果たしていた。
宿場の歴史の詳細については桶川宿の項目を参照。
近代以降
明治になると時代の変化とともに中山道は衰退し、宿場としての役目も終え始める。紅花も輸入品や化学染料に取って代わられて衰退した。しかし宿場としての役目を終えても宿場址が町の発展の中心となっていく(桶川宿に限ったことではない)こととなる。1883年に中山道に沿うように高崎線が敷設され、1885年には桶川駅が設置された。
1889年に町村制が施行され、桶川宿と隣接する3村により桶川町が成立する。同時に現在の市域に加納村、川田谷村、大石村が成立する。
昭和の大合併時には埼玉県により近隣の10町村(桶川町・加納村・川田谷村・大石村・上平村・上尾町・平方町・原市町・大谷村・伊奈村)による合併案が示されたが実現せず、1955年1月1日に加納村、3月10日に川田谷村とそれぞれ合併し、新たに桶川町が成立する。同年4月1日、旧大石村の大字井戸木字後の地域が同年1月1日の合併により成立した上尾町から分離し、桶川町に編入された。翌日その一部を再び桶川町から分離、上尾町に編入し現在に至る。
詳細は加納村、川田谷村、大石村の年表を参照。
地名の由来
桶川の地名は、1352年(観応3年)の足利尊氏の家臣への下文に「桶皮郷菅谷村」と記されたのが文献上最古のものである。なお、この菅谷村は現在の上尾市菅谷を指すと見られる。桶川の地名は古来からのものである為、はっきりとした由来は不明であるが、以下の2つの仮説が云われている。
「沖側」に由来 - 「オキ」は広々とした田畑の意で、その方向である「沖側」が訛ったというものである。
「起き川」に由来 - 芝川・鴨川等の水源が有ることから川が起こる所すなわち「起き川」になったというものである。
桶皮表記が見られるのは足利文献のみであり、桶川、桶皮のどちらも当て字によるものと推測される。
市域の成立まで
1868年以前 1868年 1875年 1879年 1889年4月1日 1955年1月1日 1955年3月10日 1955年4月1日 1955年4月2日 1970年11月3日
桶川宿 桶川町 桶川町 桶川町 桶川町 桶川町 桶川市
町谷村 大谷領町谷村
上日出谷村
下日出谷村
上加納村 加納村 加納村
下加納村
坂田村
篠津村
舎人新田
領家村 小針領家村
五丁台村
倉田村
上川田谷村 川田谷村 川田谷村 川田谷村 川田谷村
下川田谷村
樋詰村
井戸木村 大石村 上尾町 (大字井戸木字後)
(字後の一部) 上尾市
上尾町(1958年、上尾市)
年表
1869年(明治2年)1月28日 (旧暦) - 武蔵知県事・宮原忠治の管轄区域をもって大宮県が発足(県庁は日本橋馬喰町)。
1869年(明治2年)9月29日 (旧暦) - 県庁が浦和に移転し、大宮県から浦和県に改称。
1871年(明治4年)11月14日 (旧暦) - 浦和県・忍県・岩槻県の3県が合併して埼玉県が誕生。
1872年(明治5年) - 大区小区制施行により、第18区に所属する[1]。
1879年(明治12年) - 足立郡の区域をもって行政区画としての北足立郡が発足。郡役所は浦和宿に設置。
1889年(明治22年)4月1日 - 桶川宿・大谷領町谷村・上日出谷村・下日出谷村が合併し、北足立郡桶川町となる。
1955年(昭和30年)1月1日 - 桶川町と加納村が合併し、桶川町となる[2]。
1955年(昭和30年)3月10日 - 桶川町と川田谷村が合併し、桶川町となる[2]。
1956年(昭和31年)4月1日 - 大字井戸木字後が上尾町(現在の上尾市)から分離、桶川町に編入される[2]。
1956年(昭和31年)4月2日 - 大字井戸木字後の一部が分離、上尾町に編入される[2]。
1970年(昭和45年)11月3日 - 市制施行により、桶川市となる[1][2]。
1995年(平成7年)1月 - べに花の郷づくり事業が始まる。
1999年(平成11年)10月26日 - 桶川駅周辺で桶川ストーカー殺人事件が発生し上尾警察署の対応に批判が集まる。
2004年(平成16年) - 彩の国まごころ国体のバスケットボール成年女子の競技が行われた。
2010年(平成22年)11月3日 - 市制施行40周年を記念し、公式マスコットキャラクター『オケちゃん』の使用を開始した。