離婚の前に知っておくべき知識【有責配偶者】
- 2024-12-6
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本ホームページの記事で紹介している浮気や不倫の情報の中にも登場している「有責配偶者」というものを皆様ご存知でしょうか?
名前を聞いたことがある人や、名前すら聞いたことがない人それぞれいらっしゃると思います。
この記事を読んでいる方の殆どが「有責配偶者」について知りたいと思っている方が多いと思いますので
今回の記事では有責配偶者とは何なのか詳しく解説していきます。
有責配偶者って何!?
結論から申し上げますと「有責配偶者」は『離婚の原因を作り、婚姻関係を破綻させた配偶者』の事を指しています。
婚姻関係の破綻となる原因は主に「不倫(不貞行為)」「暴力(DV)」などが代表的で、配偶者の信頼を著しく裏切る行為をした人の事です。
裁判では上記の様な行為を「法的離婚事由」と呼び、この法的離婚事由に該当する行為を行った者が有責配偶者となります。
相手(配偶者)との信頼を裏切り、傷つける行為を行ったうえで相手側が望まない離婚を求めることは信義に反するとされており、有責配偶者から原則として離婚の請求は認められておりません。
さらに有責配偶者は相手側から慰謝料を請求される場合や離婚の際、財産分与の放棄を求められることもあります。
有責配偶者として認められるケース
有責配偶者として認定されるケースは全て、相手を傷つけてしまう行為であると考えられています。
これから紹介する有責配偶者として認定されるケースは民法770条の法的離婚事由として扱われており、いずれかに該当した場合は有責配偶者として認定されます。
有責配偶者として認定されるケース①不貞行為
日本で最も多いとされている有責配偶者として認定されるケースとして挙げられるのが「不貞行為」です。
不貞行為というのは『結婚している人が配偶者以外の異性と同意の下、性交渉に及ぶこと』とされています。
一般的には「不倫」と呼ばれる行為ですが、不倫という言葉は法律上定義されていません。
他の異性との浮気・不倫関係は離婚事由として取り上げられることもありますが、慰謝料の請求をする場合はこの「不貞行為」が行われたかどうかがカギとなります。
有責配偶者として認定されるケース②悪意の遺棄
聞きなれない言葉かもしれませんが、一般的な離婚事由で多いモノが「悪意の遺棄」になります。
この悪意の遺棄とは『夫婦間の同居義務・協力義務・扶助義務・婚姻費用分担義務などの義務を正当な理由なく反する事または、履行しないこと』とされています。
正当な理由なく無断で別居したり全く家に帰らない、家事や育児に全く興味を見せず協力しようとしせず、生活費の分担も拒否するなどの行為が当てはまります。
悪意の遺棄という言葉だけ聞くと難しく感じるかもしれませんが、離婚の理由としては多いことが分かるかと思います。
有責配偶者として認定されるケース③3年以上の生死不明
配偶者の生死が3年以上不明な状態であると有責配偶者として認定されます。
例えば山や海で遭難してしまった場合や拉致・誘拐などの事件に巻き込まれた可能性がある場合。
家出などで居場所を確認する術がなくそのまま3年以上の年月が経過してしまった場合が該当します。
日本では、登山やダイビングが趣味である人や、職業が漁師で船が難破してしまい遭難事故に遭ってしまったというケースが殆どです。
有責配偶者として認定されるケース④強度の精神病
配偶者が強度の精神疾病に掛かってしまい回復の見込みがない時も有責配偶者として認定されます。
民法でいう「強度の精神疾病」とは『病気の程度が婚姻の本質的効果である夫婦としての同居協力扶助義務に違反する程に重傷であること』を指しており「回復の見込みがない」は『不治の病である』ことを指しています。
実際に判例として現れた事例としては「総合失調症」や「躁うつ病」が多いと言われています。
現代社会において精神病患者の数は増えており、発達障害やそのほか精神病について重要視されてきているようです。
有責配偶者として認定されるケース⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由
上記で上げた有責配偶者として認定されるケースのほかにもいくつか認定されるケースがありますがその他としてまとめられています。
一般的には暴力(DV)・性格の不一致・セックスレス・犯罪による服役などが該当する様です。
有責配偶者からの離婚請求が認められるケース
冒頭でも解説いたしましたが、相手を傷つけ信頼を損なったうえに相手側が望まない離婚を請求することは信義に反するため、有責配偶者からの離婚請求は原則として認められておりません。
しかし一定の要件を充たしている状態であれば有責配偶者からの離婚請求が認められる場合がありそれは以下のようになります。
1.別居期間が長期間に及ぶ場合
2.未成熟の子どもがいない場合
3.配偶者が離婚によって過酷な状況におかれない場合
以上の3つの条件を全て満たしている場合は判決によっては離婚ができる可能性があります。
別居期間が長期におよぶ場合とは
別居の期間が長期であるかの判断は、夫婦の年齢や同居期間との対比をそて総合的に判断されますが、一般的には7~10年以上の期間別居していると夫婦関係が破綻していると判断される可能性が高いとされています。
しかし、単身赴任や家庭内別居は該当しませんのでご注意ください。
未成熟の子どもがいない場合とは
「未成熟の子ども」は年齢だけが判断材料として扱われるのではなく、成人(現在では18歳)していても学生であったり、障害を抱えているなど生活するにあたって親のサポートが必須である状態の子どもを指しています。
したがって「未成熟の子ども」とは、社会的・経済的に自立しているかどうかで判断されます。
配偶者が離婚によって過酷な状況に置かれない場合とは
離婚によって相手側が、精神的・経済的困窮に陥らないかどうかがで判断されます。
有責配偶者の収入によって生活が支えられていたり、障害のある子どもを介護し続けることが予定されている状態であると、離婚によって生活の困窮が予想され、精神的・経済的・社会的にもきわめて厳しい状態に置かれてしまい、離婚後も有責配偶者による援助が必要となります。
このように、配偶者が離婚によって過酷な状況に置かれてしまう状況下では、有責配偶者側が経済的援助を申し出るなどして、離婚後も一方の配偶者の生活が困窮しない様に約束をしなければならないというケースもあります。
有責配偶者に時効はある?
結論「有責配偶者」に時効はありません。
しかし、不貞行為や暴力(DV)が過去に行われていた事実があったとしても、長期間経過し夫婦関係が正常に戻っていれば有責配偶者として問えない場合もあります。
したがって「今は正常な夫婦関係を築いているが、過去のDVや不貞行為が原因で離婚したい」と訴えても夫婦関係が修復されていると判断されると、離婚事由として扱われない場合があります。
ただし、有責配偶者に時効はありませんが「慰謝料請求」する場合には時効が存在するので注意が必要です。
不貞行為の時効に関しては以下の記事にまとめていますので気になる方は参考にしてみてください。